憧れの小箱

もうすぐクリスマスがやってくる。みんなに平等にやってくるその日は、平等にやってくるのに幸か不幸か与える感情は不平等だ。

わたしにとってクリスマスは恋人がいてもいなくても何だかちょっぴりさみしくて、ドキドキするイベントだ。さみしさの理由は簡単で、もうわたしにはサンタさんが来ないということ。無条件に降り注ぐ幸福な驚きは20歳を迎えると同時に終わってしまった。ドキドキはその時の興奮や高揚感をつい期待してしまうからだと思う。

今のわたしにとってのクリスマスは大切な人にちょっとした気持ちを伝えられる日になった。家族には珍しいチーズの詰め合わせを。ワインが好きな両親が喜んでくれるといいと思いながら、塩キャラメルのような味がするというチーズと、ちょっと贅沢なトリュフ入りの白カビのチーズ、ブルーチーズにラクレット。自分で思いついた癖に、なんて幸福な贈り物だろうと思った。嗜好品程の贅沢はない。無駄なものは無駄な分だけ贅沢に思う。

あとは迷いに迷って何人かの人にちょっとしたプレゼントを買った。選ぶ瞬間が一等楽しい。サンタさんのお手伝いをしているみたいだ。好きな人の喜ぶ顔を見るのはとても幸福。

今年はどんなことが起きるだろう。聖夜を迎える人たちに光あれ、なんて心の広いことは思えないけれど、少なくともわたしの好きな人達が幸せに過ごせる数日であるように祈っている。