ワインを覚えた日のこと

ついこの間、クリスマスイブにディナーへ連れていってもらった。夜ご飯ではなく、ディナー。わたしは初めてのディナーというものに戸惑いながら、あれでもないこれでもないと慎重に洋服を決めて、特別な日にだけ履く黒と赤の15センチもあるヒールを選んだ。(ヒールが苦手なわたしにとってとても勇気のいる靴だったことだけ記しておく。)

お店は木に囲まれているカフェで、サンタさんが9人手を繋いだオーナメントが可愛らしかった。
柘榴とスモークサーモンのサラダ、ズワイ蟹とチェリートマトのパスタ、牛肉を赤ワインでうんと煮たもの。出てきたお料理はどれも、見栄えよく盛り付けられていて、白いお皿は赤いテーブルクロスの上で映えてとても綺麗だった。
そのお店にはいくつかのワインがあったのたけれど、わたしはお酒に疎くどのワインが甘くて、どのワインがお肉に合うかなんてわからなかったのでひととおり頼んで飲んでみることにした。ロゼのシャンパン、白ワインの甘いもの、お肉に合わせた赤ワイン。ワインを美味しいと感じたのは多分その日が初めてだったと思う。(今までワインに不誠実だったからかもしれない。)ワイングラスは口が細くなっているので、グラスを口に近づけるとむせ返るような発酵した香りが喉を伝ってくる。驚いた。ワインとはこういう飲み物だったのだ。押し入ってくる飲み物。開かれていく感覚。

スイーツが供される頃には、わたしはすっかり酔っていたのだけれど、最後に出てきたマスカルポーネジェラートがとてつもなく美味しかったのと、大人が過ごすクリスマスイブとはこういうものだったんだ、という新鮮な気持ちだけが鮮烈に残った。

そういえば行きしなにクリスマスツリーも見た。とても綺麗だった。今まで見たどのクリスマスツリーよりもうんとうんと綺麗だった。