だから私は一人で暮らしてゆけない。

突然不安が降ってくる瞬間がある。それは日々が充実していようが、好きなものに囲まれていようが関係ない。そして、それは夜にやってくる(可能性が高い)。今日も例外ではなくて、ふとしたことがきっかけで愛猫の健康が心配になり、最終的には好きな人が死んでしまったらどうしようという最悪の事態を想像した。

わたしは先のことを考えるのが得意なのだけど、それは先見の明があるとかではなくて、ただただ最悪の事態を想像するのが得意なだけだ。鍵をかけ忘れたらどうしよう、泥棒が入ったらどうしよう、泥棒が武器を持っていて家にたまたま居た誰かを傷つけたらどうしよう!

極めて非現実的なのだけど、それは現実のように私に襲いかかる。背後から忍び寄ってくるから予見もできない。必死に戦うしか方法はないのだ。

だからわたしは一人で暮らしてゆけない。

今は家族と一緒だ。なので夜にそういうことが起こったら、家族の寝顔をこっそり見に行くようにしている。心易い誰かと電話をして、温かい牛乳を飲んで、ベッドで丸くなっても立ち行かなくなったら、家族の部屋を覗けばいい。比較的安心だ。すやすやと眠る3人と2匹。きっとわたしは熱を持ついきものがいないと不安で仕方がないんだろう。天涯孤独になったら、わたしはすぐさま一緒に寝てくれる誰かを探してしまうんだろうと思うくらいには大切なことなのだ。

だから一人で暮らしをしている人はすごいと思う。尊敬してしまう、拍手喝采、わたしの中の観客たちはもちろんスタンディングオベーションだ。一人暮らしの人に聞きたい。こんな夜をどうやって乗り越えるのだろう。だってひたすら耐えるわけにはいかないでしょう?コツがあるのならぜひ教えていただかなくちゃならない。(不本意ではあるが)いつかは一人で暮らさなくてはならない日が来るであろう自分のために、出来るだけの準備はしてあげたいと思うのだ。